石見銀山と『天コケ』ロケ地ツアー(挫折編)

お盆休みは石見地方に一泊ドライブしてきました。目指すは世界遺産登録ほやほやの石見銀山。かなりの人出は覚悟していたのだけど、これが正に夏フェスの趣きでした!

朝9時前に着いたのに、すでにシャトルバスは長蛇の列。道も狭く、江戸末期〜明治の景観を残した大森地区へは、車両の立ち入りは制限されていて駐車場からマイクロバスでのピストン輸送。長蛇の列に見切りをつけて、細い山道を徒歩移動。小川のほとりにへばりつくような石窟にたたずむ五百羅漢を拝観。

そっからまたてくてくと小さな集落を抜ける3kmの道のり。唯一一般公開されている龍源寺間歩(まぶ=坑道)へ。山肌にぽっかり開いた背丈ほどの高さの穴。地底の冷気に救われます。壁はノミで掘ったそのままの状態。所々縦穴横穴が広がっていて、ポムじいがどっからか出てきそう。ぴたぴたと地下水が染みていて、閉所恐怖症には心臓に悪い。


ゆっくり静かに見れたら最高だったのだけど、行き違う人やバスの中で数々の愚痴が聞こえてきてしょんぼりしました。「道を広げて奥までバスが入れるようにすればいい」「地元の企業だけでは限界がある」「トイレが仮設なんて」「コンビニはないのか」思ったことが考えなしに口をつく人たちが多くてげんなりだよ。暑いからってイライラしすぎ!
「ダメっぽくね?」と言われていた世界遺産登録がどんでんがえしで叶ったばかり。もちろん受け入れ態勢はまだ不十分。それは致し方ないことであって、僕はむしろ道路や駐車場の整備が進んでいるのに驚いたぐらいなのですが。
石見銀山の価値は歴史的な重要性だけじゃなく、閉山後ふたたび樹々に浸食され、文明が静かに自然に埋もれつつあるっていう廃墟感も貴重なわけだし、かつ現時点でも自然に寄り添いつつ独自の時間の流れで町並みを守ってきた、400人余りの生活の場でもあるわけで、(自分のことは棚上げしますが)わあーと押し寄せて田舎の小ささ・不便さへの不満たれてるの聞くとそりゃないだろと思った。町並みを散策していると、中から食事の音なんかも聞こえたりもするのです。世界遺産はおめでたいのかもしれないけど、確実に町の人の生活から静寂を奪ってるなあと反省。だからほんと観光地化されて辰ちゃん漬けのお店ができちゃったりするのだけは勘弁です。今は純粋に世界遺産登録をよろこんでいる地元の人たちが、後々ため息をつくことにならねばよいな。
ぶーぶーと語りすぎた。
大森地区を後にして、銀貿易の窓口になった温泉津町の沖泊に。銀鉱山と町並みばかりが注目されていますが、銀交易の窓口となった港もセットで世界遺産。こっちは観光客ゼロ。美しい入り江にうっとりですが、あまりの日差しに早々に退散。

森山大道が子供時代を過ごした旧宅野村にも立ち寄りたかったけれど、やむなくスルー。

旅は第2部へ!更に石見地方を西に。浜田を中心に撮影された『天然コケッコー』のロケ地を巡る旅、の筈でしたが、見事にロストマイウェイ。ロケ地マップ*1の位置関係はあてにならないぞい!学校のロケ地となった後野小学校へは辿り着いたけれど、山道のスラロームを繰り返し、ギブアップしました。リサーチ甘かった。
まずは『天コケ』ちゃんと観てから出直します!